≪ アドルフ-ウィリアム ブグロー の甘美な絵画 ≫

『 見るのがチョット恥ずかしい芸術絵画 (1) 』

Adolphe-William Bouguereau 1825〜1905
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■  ウィリアム・ブーグロー(ブグロー)は、
 1884年フランス美術アカデミー会長になり
 印象派の画家達(セザンヌ、ルノワール等)を、サロン出品から落選させていた人物である。
 印象派愛好家を基準にすれば、独善的な非情の極悪人なのであるが、、、、

古典を尊重し理想を求めて、熟練した高度なテクニックを有し、かつ 
19世紀後半のフランス美術界で強烈な権力を握っていた、”エライ人”なのだが、、、、、、、、、、


古代神話の主題から風俗画に至るまで
美の極致と言えるほど、甘美で精緻な技術を駆使し、
親近感を覚えてしまう現世的な美しい顔立ちで表現、
長年古典鑑賞で見慣れている為、安心できる構図、、と

芸術に触れて生活している者には、突然の出会いにハッと驚く作品群
どれをとっても手抜きの無い精緻さ、制作姿勢の真摯さが感じとれる。

なのに、、少し恥ずかしくなる。
あまりの甘美さゆえに、通俗的なのではと、自戒の思いが恥ずかしさを刺激する。




どの人物を見ても
優美で
清潔で








<兄弟愛>1851年  (Boston,Museun of Fine Arts)
147 x 113.8 cm




一目見て
ラファエロ、
ダ・ヴィンチ、
ミケランジェロ
の要素がひらめく

表題は「兄弟愛」なのだが
ラファエロの聖母子を連想、
でも、
人物の配置は同じではなく、
母親の形は
ミケランジェロの
バチカンのピエタ似。
被り物がダ・ヴィンチの
聖アンナを連想、、

古典とは違うのだが
古典そのままの印象なのだ。


<春> 1886年 (Nebraska,Joslyn Art Museum)
213.4 x 127 cm
右下の天使の身体の一部しか描かれていない。
バランスの観点から不自然


<プシュケを略奪するキューピッド> 1895年
(Montreal,Private Collection) 209 x 120 cm
←の春と同じ身体をくねらせる
プシュケに蝶か蛾の羽が付いている
<物乞い>↓→
このような主題でさえ
美しき人物を描いてしまう


<小さな物乞い> 1890年
(Syracuse University Art Collection)
161.6 x 93.4 cm
<貧しい家族> 1865年
(Birmingham Museum and Art Gallery)

↑の拡大画像 ↓



<聖母子と聖ヨハネ> 1882年
(New York, Cornell University Museum)
190.5 X 110.8 cm
←宗教画、↓古代主題画も
伝統的な構図を外さない。
← 幼子が十字架の形をとっているのが
ラファエロとは全く違う、、

<ホメロスとガイド> 1874年
(Milwaukee Art Museum)
208.9 x 142.9 cm
ギリシャの盲目の詩人ホメロスを案内する少年


<秘密> 1876年
(New York, Historical Society)
後ろの女性の指が、ダ・ヴィンチの聖ヨハネを連想


<座る裸婦>1884年
116.5 x 89.8 cm
何故か、ダ・ヴィンチの岩窟の聖母を思い出す


<誘惑> 1880年 (Mineapolis Institute of Arts) 97 x 130 cm

<誘惑>の拡大画像

全体のイメージからは、「誘惑」が不似合いなんだけれど、
”りんご” がアダムとイブの ”りんご” の意味なのか

とすれば、古典的、、なのだが
その先の展開が画面には描かれていない。




<ヴィーナスの誕生>
1879年
(Paris, Orsay)
299.7 x 217.8 cm

ボッティチェリのヴィーナスよりも
ラファエロのガラテアの連想が強い。

ガラテアの下地にヴィーナスの貼付けだ。


<ニンフとサテュロス> 1873年
260 x 180 cm

バッカスの従者サテュロスは
美しいニンフの引き立て役である。

部分拡大画像
かわいいねぇ

<春への憧れ>

<突進>
↑←の3点は同じパターン


← <蜂の巣の如し>
1892年

このあたりの作品は
主題の表現よりも
女性の甘美さが目立つだけ、、、
芸術的ではあるが、
通俗的な装飾画だと
軽い評価をされてしまう、、、


<ニンフ達> 1872年 (California, Haggin Museum)
144.8 x 209.5 cm
正に絵の中の世界でのみ可能、、
こういう絵を描いている時の画家の心境はどうなんだろうか?
裸体ばかりこれだけも、リアリティに描き続けて、、ずっと真剣に冷静にいられるのだろうか、、

<エロスの誘惑に抗する娘>
1880年
(North Carolina Museum of Art)
160.8 x 114 cm

この程度なら芸術的!
愛に対して恥じらいを感じる
若き乙女の魅力が
健康的に伝わってくる。

矢を持つキューピッドの
陽気ないたづらっぽさ、、
魅力的な絵である。



<フローラとゼフュロス>

花の精フローラを起こす
西風ゼヒュロス


<復讐の女神達に追われるオレステス> 1862年 (Norfolk, Chrysler Museum of Art)
231.1 x 278.4 cm
↑の拡大画像 ↓
怒りを露わにする復讐の女神達の頭髪は蛇である。
このようなテーマの含みのある絵をもっと多く描けば、ブグローの評価も変わっていただろうに、、
甘美さだけが印象に残るのは、やはり軽んじられる。

* オレステスの物語(オレスティア) *  (これには解説が必要だろう)
トロイ戦争で、ギリシャ軍の総大将として勝利を収めたミュケナイ国の王アガメムノンの息子がオレステスである。
トロイ戦から凱旋したアガメムノンは、留守中に愛人を作っていた妻に、入浴中に殺されてしまう。
オレステスは、帰国して父の仇となった母親を殺害するのであるが、、
母親は 「お前が吸ったこの乳房にかけて許しておくれ、、」 と、、迷いはするが、母親を殺害し、父の仇を討つ。
「母の怒りの化身に気をつけるんだね、、、」 と言い残した母親の言葉の結果が、この絵の主題である。
復讐の女神達が、肉親を殺害した者に襲いかかっているのである。
復讐の女神に追われ続けて諸国を逃げ歩き、
最後に、アテネの国で守護神アテナの裁定で、オレステスは かろうじて無罪になり
復讐の女神達も慈しみの女神となり怒りを鎮める、、というお話。  <アイスキュロス3部作>

<夕暮れ> 1882年
207.5 x 108 cm (Havana, National Museum of Art)

ブーグローの作品は1200点ほどあるそうな。
紹介されて目にする絵は
殆んどが美しき女性像である。
↓ <慈愛> 1878年
(Massachusetts, Smith College Museum of Art)
193 x 115.6 cm

<天使の歌>部分 1881年
(California, Museum at Forest Lawn Memorial-Park)
213.4 x 152.4 cm


優しく、美しく、汚れなく、、あまりにも天国的だと物足りない
芸術とは、深い葛藤を勝ち抜いた後の、優美な平安でないと、、
どこかに、葛藤を経験した痕跡を意識させなければ、見る人の心にうったえてこないのだ。
深い葛藤を経験した者が、美しさの価値も、その貴重さを大切にする。
ベートーベンのように最後まで葛藤、、、歓喜は理想の領域にあり、、、、というのも寂しいが
モーツアルトのように、、素晴らしき優美さに満ち溢れ、、しかも常にそれだけではない。
難しいのだ人生は!!! A ha ha !

■  生まれながらに才能を発揮し、期待され、成功し、素晴らしき配偶者に遭遇し、子孫に恵まれ、、
   このような人に必要な芸術には、、甘美さだけで十分なのかも知れない。

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