コーヒ カップの焼き物としての魅力

 高級コーヒカップといえば、ヨーロッパブランドと信じ込んでいる人が多いようだ。<百貨店にコーナーを持っているのが一流の証し、誰でも知っていなければ所有する意味が無い>という御仁には、<大人の趣味としての焼き物>という観点がある事をご理解いただきたい。 やはり日本製に落ち着いてしまう。

 私は、30年程前から、焼き物が好きで、日本六古窯(備前、丹波、信楽、瀬戸、常滑、越前)は全て回り、それ以外も旅行の際には、必ず近辺の陶磁器を買い求めるのを習慣としている。 自分が使う焼き物に限定している為、食器、飾り皿、花器が中心。 実質の伴わない茶道具、投資としての作家物には全く興味がない。  毎日使うコーヒカップもその延長上で買い続けている。 ファッションとしてのコーヒカップではない。


 <口紅、見込み(内側)>

清水焼は、内側にもていねいな手書きが、口縁には茶色の口紅が施され、ビシッと引き締めている。これらが無いと間が抜けて見える。
 <高台>

 上の立派な高台は、清水焼。

 下左のマイセン、側面の絵付けの量に合わせればこの程度か。右上はマイセンの口縁。

 下右のR.コペンは、何もかも見劣りする。2流と言わざるを得ない。
 染付け、手描き
これも清水焼、手描きとはこういうものを言って欲しい。清水でも最近はこの程度のものは見つけ難い。
筆の味が出ている、職人の個性・技量が味わえる。
 左は、マイセンの下書き用転写道具。穴の開いた型に木炭粉を綿で転写し、その上をなぞって筆書きするので、普通のカップだと筆の勢いが無いのが気になり、愛用品とはなり難い。デミタス(中段左)なら白地の少なさで充実感が出る。

 下段は、RoyalCopenの小物。大物は全く間が抜けてダメだが、この程度の小物なら使える。1978年にコペンハーゲンの空港で購入。この頃は日本では未だRoyalCopen自体が珍しく、展示数も少なく選ぶ事無く、展示品を買うしかなかった。この手のものは勿論日本では見れなかった。

 <手描き>の味わいは、筆の勢い、職人の気質が感じられるのが魅力で、下書きをなぞった作品には<手塗り><なぞり>とか別の表現をとりたいものだ。 <中段右>は、不揃いの丸が逆に手描きの魅力になっている。この作者しおりには、「陶芸勉学の為、韓国・台湾・タイに行く」とあるが、購入当時のこの3国に行く事は女郎買いしかなかった頃。韓国には「度々」とある。この絵には性格が反映している。手描きの面白さだ。作者名は伏せておく。
 色絵

将に職人が描いた九谷焼(吉田屋風)。金沢でも安物の転写ものが多い、要注意。黒部・立山・白山に登山すれば必ず途中下車して捜すのだが、これ以後、良い物に出会えない。
 色絵

左はマイセン、口縁に金彩で引き締めている。
右はドレスデン窯、風合いも売価もマイセンと変わらない。(共に工場で)。マイセン訪問の際、比較の為に購入。
他Brandには、輪郭を転写し輪郭内に絵の具を乗せて手描きと公言しているのもある。
沖縄で買った<壷屋焼き>。 土物(陶器)も面白い。 コーヒー豆、焙煎は、どっしりと重みのあるものが似合う。
壷屋焼きの小物、伝統だけでなく、相馬氏のように沖縄以外の感覚を持ち込んで壷屋を牽引している人達も多いのだろう。

 私は、コーヒカップのような西洋文明の様式であっても、京都の時代に磨かれた文化センスが創りだした清水焼きが最高だと思わざるを得ない。<ヨーロッパでも欲しいと思われるものを写真では見るのだが、現物を見たことが無い。下参照>


       

26年目に見つけた祥瑞(05-02-24追加) → 祥瑞珈琲カップ詳細
2度目のマイセンは全工場解放の日に、(03-05追加) → マイセン磁器工場 OPEN DAY 訪問記
手描き染め付けの工場見学の報告です。(01-05追加) →  有田焼、≪青花≫銘、しん窯工場訪問記
ミュンヘンでラファエロ、ウェルツブルグでティエポロを観るついでに、 → ドイツ・マイセン磁器工場 初 訪問記

    ブラウザーの<戻る>で戻った方が速くなります。<TOP>はTOPページを再読み込みします。