≪ 今回の音楽会あれこれ、ボローニャ、フィレンツェ5月祭、サンカルロ、ガルニエ宮 ≫

2004年GWイタリア、フランス旅行報告(24)
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■ 今回の旅行で訪れた歌劇場は、、
ボローニャ歌劇場で、 ロッシーニ 『 オリィ伯爵 』
フィレンツェのテアトロ・コムナーレで、 ベートーベン交響曲3番「英雄」 他 メータ指揮
              ノノ       ワグナー 『 マイスタージンガー 』 メータ指揮
ナポリ、サンカルロ歌劇場で、 バレエ、『 ラ・バヤデール 』 ミンクス曲、「アルルの女」他
パリオペラ座、ガルニエ宮で、 歌劇場楽団員による 室内楽
                                         以上 5公演のみ。

■ 全てインターネットで直接予約。
ただ、ヴェネツィアのマリブラン劇場での 「真珠採り」 も取りたかったのだが、
インターネット予約画面で何日トライしても枚数入力の画面が現れず、ついに予約できなかった。
ローマ歌劇場は、滞在中には公演なし。

★★ ボローニャ歌劇場

ロッシーニ 『 オリィ伯爵 』
指揮 = Jesus Lopez Cobos
Le Comte Ory = Lawewnce Brownlee
La Comtesse = Corinna Mologni



★ ボンファデッリが見れるやも知れぬ!  と
最大の楽しみだったのが、、ダメ !
ホームページでは公演日毎のキャスト記載は無かったので未定なのかと思っていたら、現地のポスター等には公演日毎に記載がある。
インターネットでも記載しているサイトがあったかも知れない。
しかし、訪問可能な日には全て Stefanis Bonfadelli は出演なしだった。

★ この日のボローニャは、見本市開催と重なり、ホテル予約では大いに苦労した。
ホテル予約サイトの殆んどが、空き部屋無し、、
2日間探して、やっと見つけたホテルは、遥か郊外でタクシー利用を強いられ、1泊259ユーロ、34722円。
こんな事態は予想していなかったので、オペラのチケット申込みを完了した後で、ノンビリとホテル探しをしたのが失敗の原因だ。
ボローニャ歌劇場は、ペーザロのロッシーニフェスティバルで演奏を聴いていたし、
シャイー指揮のロッシーニの録音などで馴染んでいたので、好意的な印象を持っていた。

大学前の汚い雰囲気の歌劇場も中に入れば別世界なのだが、一流の劇場の醸し出す緊張感は薄い。
9割程度の入りで、2階の私の桟敷は一人で占有。
開演前のオーケストラボックスでの練習風景を見ていて、、「間違いなく2流だな」 と思わせる。
チェロの女性は、風船ガムを噛みながら、、時々プーッと、、パンッとはじける。
他の奏者もおしゃべり優先、大あくび。
一人や二人は熱心に練習していてもいいのだが、、皆無。

幕が上がり、舞台はビリヤード台のあるサロン風、、、
弦合奏は音が滲んでいる。  大いに期待していたロッシーニの躍動感が伝わってこない。
この歌劇場なら、ロッシーニの躍動感は遺伝子に組み込まれていると思っていたのだから、、
全くのヘタクソなのではないが、、、サラ〜とメロディが流れているだけ。
指揮者の Jesus Lopez Cobos が不適格なのだろう。 オケに緊張を与えやる気を引き出していない。

合唱団員の態度がひどかった。
伯爵夫人が、「苦しみのあまり死にそうです」 と切々と歌っているのに、
男性合唱団員が冗談を言い、周囲の女性団員が口を開けて笑っている。
伯爵夫人の御付きで一度も歌わない美人も、ニヤニヤと舌なめずりをするは、、と
舞台の上で観客に見せているという自覚は全く無い。 惰性で仕事をしている。
主役が歌っている間は、私達は無関係と、、別行動なんだから、、ヒドイと言うしかない。
これに、金管が音を外すんだから、、、指揮者に威厳と自覚があればこんな事は無いはず。

毎日、続けて同じ演目。 近郊都市に出張して、同じ演目、、、
緊張感がなくなりダレる方向に行くのは予想できる、、
公演する度に来る新しい客の為に、常に新鮮な演奏を引き出すのは、指揮者の最低限の資質だろう。

ベルリンフィルの団員のように、緊張して行動するのが当たり前、、子供の頃から、より高いモノを目指して努力する習慣を身に着けていれば、指揮者が誰であれ緊張感を無くす事はないだろうが、、、

ボローニャ歌劇場、、全くの三流では無いはず、、もう少し才能のある指揮者のプレミエでも聴けば評価は変わるかも知れぬ。
★★ フィレンツェのテアトロ・コムナーレ

ベートーベン、レオノーレ3番
ベートーベン、交響曲4番
ベートーベン、交響曲3番「英雄」
メータ指揮
両日とも平土間の良い席が取れた。

開演前の練習で、フルートの女性が真剣にレオノーレを繰返していたが、気の入った節回しで期待を高めてくれた。
客席の雰囲気も、悪くない。 最上ではないがオーケストラ演奏会なら上出来の部類。
向かって舞台右手から登場してきたメータには驚いた。 疲れ切った顔、、、
客席への気遣いも無く、そのままの疲れ切った表情を丸出し。
演奏開始の一瞬の緊張感も無く、音が出る。  しかし出てくる音は、緊張感のあるもの。
さすがに、ベテラン、、、、フルートも練習どおり気持ちの良い抑揚だ。
このオケの生の音は初めてだけれど、、シッカリした合奏力に安心しておれる。
ま、後半になって、弦の音に幅が出てきてギスギスした音になるのは許容範囲だ。

全ての曲が無難にベートーベンらしく演奏され大いに満足。
今までもメータの指揮で圧倒的名演に接した記憶はなく、テンポ良く引き締まった演奏止まりであった。
今回もその範疇をでない。 お祭り好きな安定した指揮者の評価は変わらず。

★ 終演後、拍手に答えて何度か舞台に戻ってくるメータ、、
出てくる舞台途中で、突然、オケが<乾杯の唄>のメロディーを、、アンコールにしてはオカシイ
メロディが突然に、<Happy Birthday> に、、、メータの顔がほころぶ,,
今日はメータの誕生日なんだ。

★★ フィレンツェのテアトロ・コムナーレ

ワグナー
『 ニュルンベルクのマイスタージンガー 』
メータ指揮
Hans Sachs = Franz Hawlata
Sixtus Beckmesser = Dietrich Henschel
Walther von Stolzing = Robert Dean Smith
Eva = Emmily May

客席の雰囲気は、昨日の演奏会よりも、ザワついている。
演奏会よりオペラの方が、背筋が伸びる場内の雰囲気、と感じているが、今夜は少しラフなムード。 テアトロ・コムナーレがオペラハウスではないからかも知れない。

日本人の団体さんが、最良の一列を占有している。
強力な代理店のツアーなんだろう。
最終幕の前に、突然、別の日本の団体さんが最前列2列を占有した。 飛行機でも遅れたのだろうか、、
貴方の席はアチラ、私はドチラと賑々しい。
ツアー料金50万円〜の類なんだろう、、
当方にもアチコチから案内が来るが、、高額なのに驚くばかり
今夜のメータは、最初からご機嫌であった。
演技が目立つ悪役を初め、歌手、合唱、舞台と全てが立派な出来、、、
ただ、ワグナー嫌いの私が、趣向を変えるまでにはならない。 
オマケに地味なマイスタージンガーだ。   やはりワグナーは嫌いだ。

終演後に時計を見て慌ててしまった。 深夜の1時 !!
小さな駅前ホテルだ、、ドアを閉められているのではないか、、、
幸いにも入れたが、、、「 Sorry ! Too Late ! 」
★★ ナポリ、サンカルロ歌劇場

バレエ
『 ラ・バヤデール 』 ミンクス曲
「バッハのピアノ協奏曲」
「アルルの女」
期待のナポリ、、サンカルロ歌劇場 !
ここは入るだけでも良い、、と思っていたが、
訪問可能な範囲に、バレエ公演があった。

バレエが特に好きだと言う訳ではないが最近はよく見る。
昨年は、ドレスデンの春の祭典、ブダペストのスカーッとする舞台などでご機嫌続きなのだ。
■ ゴミゴミとした劇場前、飾りの無いエントランスと、意外ではあったが、客席内部は予想通りの豪華さ。
客層は年配者が多い、、8割の入りか。
案内の女性が、キリッと緊張感のある制服で、動きもキビキビ、応対も礼儀正しい。
隣席のイタリアの老紳士も、礼儀正しく豊富な話題。 根気よく話題を探し親交を深める。

最初の出し物は、ロシアの Svetlana Zakharova が素晴らしい、
スタイルが良いのは当然だが、、何事もピタッと形が極まるのを見ているとご機嫌である。
< ラ・バヤデール> は、闇の王国の場面のみの抜粋。

■ 終曲のアルルの女なんだが、、、ナント! 振り付けが、ローラン・プティ
見る度に、呆れてしまう凡なる振り付けと思うのだが、、今日本でもモテハヤサレている大御所。
映像でも見たことのあるアルルの女、、
群舞ならぬいつも団子状態、、芋虫歩きのダンサー達、、きれいだと思える瞬間が全く無い振り付け
小学生の初心者が思いつくような仕草ばかり。  途中から、私ならこう演出するとイメージする。
「アルルの女」のような単純明快な名曲に、なんでこんな貧困な発想しか出来ないのか、、、
ローラン・プティの顔を思い出しながら、腹を立てている。

1度、モーリス・ベジャールやイリ・キリアン振り付けの生を見ていたいものだ。
全てが良いとは思わないが、、素晴らしき才能である事は、バレエ初心者でも判る。

■ スヴェトラーナ・ザハロワ、、、いつか又観る機会があるだろう。

★★ パリオペラ座、ガルニエ宮

歌劇場楽団員による
Franz Danzi 五重奏曲
Beethoven ピアノ五重奏
Francis Poulenc 6重奏曲

音楽を聴くというより、、ガルニエ宮で音楽会

開演前の客席のフラッシュの嵐は凄かった。
途切れることなく、パッパパッパと閃く。
この豪華なオペラ座、、当然の事だろう。

この調子なら、各楽章毎に拍手が起こるのではないか、と
心配したが、、それはなかった。
珍しい曲ばかりなのに、1曲が終わるまで拍手はない。
演奏が始まると、最後まで普通の演奏会であった。

昔、ドレスデン歌劇場で、ピアノトリオの演奏会を聴いたが、
この時は、楽章が終わる度に拍手が、、
最初は、パラパラだったのが、次第に迷いがなくなり
楽章毎に盛大な拍手だった。
ピアニストが露骨にいやな顔そしていたのを思い出す。

■ 可能な日程の範囲には、この音楽会しかなかったので仕方がないが、、次回は、この劇場に逢わせて全ての日程を組んで見よう。
ガルニエ宮、シャトレ座、シャンゼリゼ劇場と音楽三昧で過ごしてみたいものだ。

今回の旅は、ティエポロ、ラファエロ、ベルニーニ、ロマーナと絵画・彫刻が優先で、
オペラ、歌劇場はそのついでであった。
ドイツなら殆んど毎日オペラ公演があるので、日程も組みやすいが、イタリアの歌劇場は、休みが多い。

それに、一通り各地の歌劇場を体験して見ると、、必死にスケジュールを合わせるだけの感動はない、、という気もしてきている。  デジタル時代で充実してくると、我が家で、好きなものを好きな時に観ていても、なんら不自由や憧れは感じない。
むしろ、音楽の真髄に触れるという観点では、我が家の方が良い。 マスマス良くなってくる。
仮想空間にいるという不安はなくなってくる。  現実の歌劇場の実感を忘れることはない。

と言って、旅行して、歌劇場に行けないのは寂しい、、、寂しいから行くという軽い中毒症状か??

■ <2004年GWイタリア、パリ近郊都市21日間旅行 目次>

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