W.V.カウルバハ Wilhelm von Kaulbach (1804-1874)

「ティトス帝によるエルサレムの破壊」

  全く知らなかった、彼の事を。 ラファエロを観に行ったミュンヘンで、ついでに寄ったノイエ・ピナコテーク。カノバーの彫刻も何点かあり、「結構好い作品が揃っているな、来て良かった」と思っていたら、「ワーッ!」凄い、一瞬<ミケランジェロの最後の審判>が比較の対象に閃いた。細部のリアリティある表現が凄い。

 各部の寓意が明確で的確な描写だ。<預言者と天使><ローマ皇帝と軍><自殺する高僧><悪徳商人><平和なキリスト教徒><追われる邪教徒><燃え尽きるエルサレム>

 識者、マスコミ、啓蒙すべき立場にある人は、一部の有名作品に集中せず、広く紹介すべきだ。何でもモナリザ、モナリザ。名作はいくらでもあるではないか!そうだ、彼ら自身が知らないのだ、モナリザ以外を!G.L.Bernini だって無視されている、ミケランジェロの陰で。一般人も名作のラベルが無ければ名作だと思えないのだ。表面的な常識だけで、自分の理解力なんて最初から無いのかも知れぬ。(失礼!)

 見よ!このリアルさを。