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≪ カジュラーホ 西の寺院群 ミトゥナ像詳細 ≫

カジュラホ(2)KHAJURAHO

インド旅行、彫刻を中心に(2)
2008/12/23〜2009/01/02

カジュラーホ(1)西寺院群総覧へ
カジュラーホ(3)詳細アプサラと神々へ
カジュラーホ(4)東寺院群、南の寺院群へ



  


カジュラホの寺院には、、男女が対になっている像が多数ある。
ただ並んでいる姿、、
中睦まじく並んでいる姿
ただ抱擁しあっている姿
そして、前戯として抱擁している姿
性交をしている情景、、、
また、、一対一ではなく、、複数で絡んでいる姿まである。

ミトゥナ像 = 男女交合の像 なのだが、
男女一対一に拘らずに、、抱擁以上のものを選んでみた。
↓ 神 (持物所持) として睦まじく並んでいる姿 ↓


↓ 人間として抱擁している姿 ↓


↓ 脚を絡めて肉体的結合が情熱的 ↓



インドでは、カジュラーホ以外にも、このような男女性愛の像で溢れた寺院は多数ある。
同じヒンドゥ教でも、カンボジアのクメール遺跡(アンコール遺跡)では、魅力的なデヴァターやアプサラ像はあっても
このようなあからさまな男女の性愛像は見なかった。

インドでは古来から、男女の性的結合を神聖視する信仰があり、、
カーマ・スートラ、マヌの法典、リグ・ヴェーダ、タントラ、ウパニシャット哲学、、、等の引用が多数ある。
性交の陶酔・悦び・忘我の境地が、神との神秘的な同一性に通ずる。 と言う事のようであるが、、
私には、合理的に納得できるような説明にはお目にかからなかった。

バラモン教、ヒンドゥ教にあっては、俗世の密室性や卑猥的要素とは無縁の健善かつ神聖な行為として扱われている。


カジュラホにおいては、、多くの彫刻が、造形的に素晴しく芸術と呼ぶに値する出来栄えであり、、
広大な空間に、青々と晴れ上がった大空の下、、健康な精神のまま、あっけらかんと堪能できるのである。




寺院の様々な位置にミトゥナ像は配置されている、、
一番多い壁面中段の像達、、形は大きく精巧である。


突出した柱には神々の像が、、
横には、、単身のアプサラに混じって性愛像がある。

性愛像も、隣の魅力的なポーズのアプサラ像と共に見ると芸術的だ。



情熱的に絡む男女、、持物を持つ女神か、、左手に持った花?を見つめるアプサラ
それぞれの表情が特徴的であり、、造形的に収まっている。



↓ 同じように腰をひねるが、仕草はそれぞれ違うアプサラ達 ↓
腰をひねるポーズは、トリバンガ(三屈法)という。
首、胸、腰を魅力的に角度をつける。

女性が片足を上げて、、受入れ易い体勢

男性が片足で女性を密着させる

女性を背後から抱擁、女性は口付けを求める
女性が男根を握って、、、





女性の御尻・太腿の曲線が芸術的



両足を抱えて、、芸術的姿ではない、、



この位置では珍しい 4人構成。 両端は男性。 自慰行為も神聖?



↓ 小さい面なので彫刻は粗いが、4人構成で場所的に珍しい。 ↓
左の3人が何をしているのか判らない。




↓ 厨子のような位置に飾られたミトゥナ像 ↓
全てが比較的小さい。
男女が X 交差  背後から、、


男女が X 交差  向き合って、、



↑ 厨子のような位置はやや狭いので粗いものが多い ↑







基壇の上に建つ寺院を屋根のある上段、彫刻を飾る為の中段、そして一番下の土台部分の下段と分けて
その下段部分には、、横に長い模様や、、物語的な彫刻が配置されている。


↓ 上下の幅が狭いので、彫像としては小さいが、、、左方向に物語展開されている。 ↓


<馬祭り>

イザ、戦場に出かける前には、、、
戦士達は、至る所で、乱交する。

欲求を発散さして、何ら不満を抱かず、、戦いに臨む。
子孫を残しておくという意味もある。

↑ ↓ 至る所で、右も左も乱交の情景である  ↓↑

前から、後から、、抱きかかえて、、、両脚を持ち上げて、、ベッドで六九、口唇性交、、、、、

律儀に配置されている。





口唇性交、、、に関する記述も古文に多いそうである。



、、、、これは子孫繁栄とは無関係。
眼を覆うふりをする人も (羞恥行為の意識があるのだ)









カジュラーホのミトゥナ像と言えば、、本命は ↑ のものではない。


大型で、迫力のある性交行為の配置場所は、決まっている。


↑  3つの大型寺院のバルコニーつなぎの壁面である。  ↑

ラクシュマナ寺院 Lakshmana Temple
 カンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院 Kandariya Mahadeva Temple
ヴィシュワナータ寺院 Vishwanatha Temple
其々の南面と北面の合計6面である。



↓ カンダーリヤ・マハーデーヴァ寺院 Kandariya Mahadeva Temple ↓
南壁の全貌




中央の絡んでいるのが男女一対。 左は女性、右は男性
2対2 なのに、
1対1 + 1対1 にならないのだろう?

中央が権力者で、、横は従者?

不自然である。

1対1 + 1対1 なら健全で神聖と言えるのだが
右の男性は、自らの男根を握っている。




↓ 真ん中の下で逆さになっているのが男性 ↓
1対3 である。  左右の女性にも手で絡んでいる。


権力者なので、、こんな状況が許されるのであろう、、
性交の興奮・陶酔が神との同一性に繋がるという
神聖なる原理・本質とは離れ、、性技の戯れにしか思えないが、、、


女、男、女、男 の順である。  右の男が余分なのだが、、




南壁の全貌




中央の絡んでいるのが男女一対。 左は女性、右は男性

左の女性は中央の男性に寄り添っている。
右の男の役割は?





↓ 中央の絡んでいるのが男女一対。 左は女性、右は男性 ↓

左の女性は独立した表現。
右の男は何をしている?




この女性のポーズが魅力的である。
大きく傾いた首、男に圧着した胸、、グッとくびれた臀部、、




↑ の作品に比べると ↓ は やや平凡な造形である。





右の男性は自慰、、、これも神聖視されているのだろうか?





↓ ラクシュマナ寺院 Lakshmana Temple ↓

南壁の全貌

中央の男女は熱烈に絡んでいるが、
右の女性は、、他所を向いて他人面
左の男性も、通りすがりのようで自慰しながら、、


神聖さよりも単なる風俗画に過ぎないと言える。




壁の全貌






中央の男性は、、権力者らしく、風格がある。










しかし、中央の男性の股下では、
小さな男性が自分の大きな男根を握り

右の男性の垂れた男根を、、
下の小さな女性が口唇性交している。


不思議な組み合わせである。










↓  ヴィシュワナータ寺院 Vishwanatha Temple  ↓
南壁の全貌




↑ 中央の絡んでいるのが男女一対。 左は女性、右は男性 ↑

右の男性は自慰行為



↓ 中央の絡んでいるのが男女一対。 左は女性、右も女性 ↓





中央の一対のポーズは魅力的である。




左右の女性の、、この恥じらいの仕草はなんであろうか、、
何らかの役割をもって現場にいるのなら、、恥ずかしがることは無い。
中央の一対が、、初心な女性に見られて興奮する、、と言う設定なら、、
風俗画のレベルで、、神聖な情景とは思えないのだが、、



これらの設定が、、カーマ・スートラ等の物語の中の一場面なのかもしれないが、、

それにしても、、性交の喜びが神との融合、、という精神から逸脱していると思う。



↑  細部までリアリティに溢れた職人芸である。  ↑




北壁は、、刺激的である。

上が、、髭があるから男性、、他は女性。 1対3である。

こんな体位、、陶酔・忘我、、、とは無縁で
世俗的な興味本位の体位としか思えない。



↓ これも世俗的興味 ↓

背後からの性交は普通であるが、、
見ぬ振りして覗き見る女性に  自慰する男性,,
これらはあまりにも世俗的な要素ではなかろうか!


自我を忘れた陶酔、歓びは、神に通じ一体化する、、、という建前は良いが
それを具現化しようとした寺院の装飾には、、、
悪乗りした俗世の邪心が混じってしまった。
そんな気がしてならない。

寺院建立というのは、、宗教的な意味合いと共に
民衆を統治する手段として建てる意義もある。
とすれば、、民衆の喜びそうな世俗的な発想も必要となってくる。

当時の施政者が領民を懐柔する為に
古代ローマが占領地に、円形劇場を造って
奴隷や猛獣の剣闘で領民の関心を買った、、
と言うような、、事を考えるのは、、考えすぎか!!






■ 男女の性交行為は、、健全な行為で、共に歓ぶことは必要なことである。
そして、、妊娠、出産、育児と充実した人生が続いて、子孫繁栄という基本的な責務を果たす事になる。

子孫繁栄につながるからこそ、、義務と権利を兼ねた当然の行為なんだが、、

宗教、信仰で、男女の性愛を褒め称えるなら、、、
この妊娠〜育児に関わる男女の思いやり・愛情をも含めて、語るべきだと思う。
それが無くて、、交合時の快感だけを称えるのは、、気になる所である。

これらの寺院において、、妊娠している歓び、、子供に恵まれた家族、、という表現があれば
ヒンドゥ教に、、今以上の興味が湧くであろう。

■ この観点で、ヴィーゲランの人間讃歌の彫刻群を知っていた事は重要な事であろう。
   何を知っているかで、その人の感性が磨かれる。
   広い世界、狭い世界、、それぞれの中で比較・対比、展開・発展させた、各人の感性がある。
   カジュラーホーのミトゥナ像の特異な体験で、、少々のエロ事には耐性が出来たかもしれない。

   オスロのフログネル公園のヴィーゲランの彫刻群 紹介ページへ



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